2013/01/15

うつつの夢





立ちこめる白の粒子で頭のGPS受信機は衛星を見失い、
自分の現在位置がつかめない。

雲の中に居るような、山中の秘湯に居るような、夢なのか現実なのか。
ついに体内時計さえも針を止めた。
遠くに滲む光は、街灯なのか、帰るべき家の灯りなのか、それとも。



暖かく湿った風が優しく呼ぶ。今なら飛べそうな気がする。

街灯に映し出された
白い湯気たて移ろう大気の流れは
宙で身体が浮力を失っても温かく抱きしめてくれる、という甘えと錯覚がよぎる、
だから。
 
 

「ねぇ、霧雨と霞と霧と湯気って、何なの? どう違うの?」
その声に引き戻され、僕は窓を閉めた。


◇ -------------end------------- ◇

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